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チキンレースなのか、いつもどおりの茶番なのかはわからんけど、事実上の期限と言われていた7月22日を過ぎてもいまだにアメリカ議会の対立が続いているようだ。
ギリギリで妥協するのか、リーマン・ショックのときみたいに金融危機が発生してから金融安定化法みたいな搾取法ができるのか、はたまた、すっとぼけてヤバい世界に突入するのか、まだまだ予断を許さぬ状況ではあるが、少なくともわかってるのは、一般のアメリカ国民とはまったく関係なく、単に金融屋の都合によってこの問題が発生しているということだ。 ![]() それにしても、凄まじいなと思うのが、共和党の出している財政赤字削減案ってヤツだな。 詳しい情報がないのでよくわからん部分もあるのだが、とにかく赤字を3兆ドル減らしたいってことらしい。 ちなみに、アメリカの2011年度の歳出は3兆8340億ドルなので、1年分の歳出に相当する赤字削減を狙っているということだ。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/keizai/eco_tusho/us_2011.html しかも、それを全部、歳出削減でやろうとしているという点が恐ろしいところである。 ブッシュ政権時代から続いている、いわゆる「金持ち減税」を継続させて、徹底的に小さな政府、つまりは新自由主義路線に持って行こうということだ。 いわゆるティーパーティー運動なんてのがあって、共和党が下院で多数を占める状況になったわけだが、保守派だのなんだの言ってるが、要するにカルトに乗せられてるだけのことだ。 じゃあ、オバマと民主党はいいのかと言えば、結局、2010年度よりも2011年度のほうが200億ドル以上も国防費が増えている状態だし(まあ、ブッシュ時代に比べりゃ数分の1だがな)、核廃絶宣言でノーベル「金融屋の手先」賞なんぞ取った上に、いまだ核実験継続してるような状態なので、いずれにしてもアメリカ国民とは無関係なところでドタバタ動いているに過ぎないということだ。 今回のデフォルト問題がどう決着するのかなんてわからんが、すでに金融屋連中は動き始めている。 どっかの役立たず経済新聞が「市場に動揺」みたいな書き方をしているが、この問題の決着が見えないことを利用して市場操作をしているだけのことだ。 格付け会社が米国債を格下げするとかしないとか抜かしてるのも同様でな。 だいたい、債務上限どうこうで政府が対立するような「リスク」が存在するモノがAAAなんぞであるわけがないのだがな、普通に考えりゃ。 よって、デフォルトそのものもそうなのだが、デフォルトするかもしれない騒動、つまりはデフォルト問題というものすべてが、経済を揺るがし、ハゲタカ連中に搾取の機会を与え、一般市民をどん底に追い込む経済兵器だってことに気づかなきゃならんと思うね。 「デフォルトざまぁ」とか言ってる場合じゃねえんだよ。 デフォルトによって、ヤバい連中が失脚する、というのも全然的外れな意見だ。 ましてや、FRBが米国債を買い上げてるのはタコが自分の足を食ってるようなものだ、という話も、そもそもカネというものの仕組みを知ってれば、なにアホ言ってんだって程度の話だ。 そもそも、本当にデフォルトするにしても、その当事者はアメリカ政府であって、FRBがなるわけではない、という点に注目すべきだろう。 つまり、ドルがみんなその瞬間に紙くずになる、というものではまったくない。 あくまでも、その影響は、米国債という債券の信用が崩れ、価値が落ち、大量のカネが消え失せる、もしくはその想定に引きずられることによって、金融・実体経済全体に広がるものなわけだ。 仮に、アメリカ政府が完全なるデフォルト(要するに、待ってくれではなくて、払えないよって状態な)になったとする。 そのとき、世界中に出まわっている米国債の価値が吹っ飛ぶ。 米国債に限らず、債券というものは、その価値自体が担保となってべつの価値を生み出しているわけだが、それもまた、次々に吹っ飛ぶことになるわけだ。 日本のバブル崩壊のことを思い出してみればいい。 あのときは、急な金融締めつけにより、土地価格が下落したことが発端となった。 その土地の価値から銀行がカネを作り、それがほかの土地や株式、債券などに流れていたわけだが、それが土地価格の下落とともに、まとめて価値を喪失、つまりカネが消えたというわけ。 アメリカのデフォルトというのは、それを世界規模でやるということだ。 世界から、何十兆ドル、何百兆ドルもの膨れ上がったカネが消え失せることになるだろうね。 世界中で、金融機関が潰れ、産業が機能しなくなり、貿易がストップするだけでなく、そもそもカネというものの価値というか意味自体がまったく違うものに変わる可能性が高い。 そのとき、キーになるのは食料、エネルギー、水という三大要素だという話は、何度も何度も書いてきたとおりだ(そして、それらの寡占化はどんどん深刻になっている)。 ついでに言えば、金(ゴールド)なんてものもほとんど意味がないと言っておく。 カネがどうなるかわからないからこそ金だって話があり、実際、いま金価格は1オンス1600ドルを超える大暴騰ぶりではあるが、所詮、これらの貴金属なんてのも、人間や社会が自活できているからこそ、価値を持つものだ。 ちょっと考えてみりゃ、わかりそうなものだけどな。 まあ、今回の件で、ここまで危機的な流れになることはあるまい。 最悪まで突入したとしても、リーマン・ショックの数倍増し程度で、世界の金融や通貨の仕組みが、誰かさんたちの都合のいいように改められる程度だろう。 だが、少なくとも言えるのは、アメリカのデフォルトというのは、ドルだけに関連した話でもなければ、世界の金融屋どもの自滅につながるものでもなく、金融という支配力を行使している人間たちによる工作、もしくはその派閥対立によってもたらされるものであり、結局、痛い目に遭うのは、世界中の持たざる庶民ということなのだ。 さて、ちょっとここで問題になるドルというものについて、もう一度おさらいしておきたいと思う。 ご存知のように、ドル紙幣というのはFRBが出しているものであるが、正確に言えば、これは通貨ではなく「国債」であるという有名な話がある。 実はこのへんが、日銀などと違う仕組みなのだ。 そして、意外と知られていないが、このFRBの資産の9割は米国債なのである。 基本的に、FRBというのは、有利子の米国債を受け取り、その代わりに小口の無利子国債であるドル札を発行している機関なのだ。 つまり、ドルの供給量が増えるということは、米国債の引き受け量も増えるということになるし、事実、FRBは米国債の売買によって、通貨供給量を都合よく操作してきた。 よって、アメリカ共和党が狙っている、歳出減による財政赤字削減というのは、単に福祉などの蛇口を締めるだけの意味ではなく、通貨供給をも含めたハイパーデフレ政策なのである。 新自由主義路線の政策と合わせて考えれば、彼らの目指す方向が、日本と同じ、国民の完全経済奴隷化であるということは明白なわけだ。 さらにすごい話として、FRBは年間1兆5000億ドルもの利益を上げている。 しかも、法人税は免除されているので、それはまるごとオーナーの懐に入るというわけだ。 その大半は、もちろん米国債の利息であり、これのために、アメリカは憲法違反とされる所得税によって、国民から巻き上げなくてはならなくなったくらいなのだ(ちなみに、日本では日銀の利益は国庫に入ることになっている)。 これらの話をまとめると、非常に恐ろしいものが見えてくる。 FRBは、アメリカ政府が保証する無利子国債を勝手に作り、有利子国債と交換し、アメリカ国民の負担によって利益を上げているのだ。 つまり、責任をすべてアメリカ政府と国民に押しつけておきながら、同時にアメリカ政府に対する最大の債権者でもあるということ。 アメリカという国は、まさに金融屋の私物なのだ。 だからこそ、通貨発行権というのは非常に重要なのだ。 アメリカでは、FRB成立以前も含め、それを銀行から政府に取り戻そうとしたリンカーンやケネディが暗殺されているのだからな。 ユーロは、まさに国家独自の経済対策を取ることができなくなり、非常に苦しいことになっている。 もちろん、これで得をするのは、ユーロを導入させた金融屋の連中である。 そういう意味で、おいらは通貨統合というものには明確に反対だし、やるにしても日本が絶対的なイニシアティブを取れるようにしなければならないと思っている。 また、かつて、アメリカが悪の枢軸呼ばわりしていた国というのは、中央銀行のシステムを持たない(つまり政府が通貨を発行している)国ばかりだった。 まさに、かつてマイヤー・アムシェル・ロートシルト(ロスチャイルド)が言ったように、通貨発行権さえあれば、誰が政治家になろうが構わない、というのが真理なのだ。 日銀は、現在、認可法人として、株(とは言わないが)が売買されているが、一応、国家が50%を握っている状態だ。 しかし、その一方で、マスコミからは「日銀の独立性」というプロパガンダが飛び出している始末である。 日銀に独立性を認める、つまり、好き勝手にやらせるというのは、日本政府および国民を日銀の奴隷にするということと同じ意味なのだ。 政府紙幣とか地域通貨とか、いろんな話が出ているのについても、正直おいらはあまり賛成ではない。 政府紙幣は日銀を使いながらやる方法があるとは思ってるし、いろいろ提案してきたが、地域通貨というのは、所詮、通貨発行利権争いでしかない。 根本を変えるには、国民が政治を通して、日銀のみならず、すべての銀行を管理できるようにならなきゃならない。 ついでに言えば、食料、エネルギー、水の三大要素についてもそうだし、とくにいま問題になってる東電の国家補償問題なんてことを考えれば、当然のように完全国営化してから、利益も損失もともに国民が受けるシステムに変えなきゃお話にならない。 逆の言い方をしよう。 そういうごくあたり前のことを進めていかないと、今回のデフォルト話のような経済兵器によって、なにもかも金融屋に奪い取られ、奴隷になるしかなくなるのだ。 「ざまあみろ」なんて言ってる場合じゃないし、「早くぶっ潰れろ」というのも自滅であることに気づかなければならない。 もはや、今回の件がどうなるかなんて話ではなくて、金融屋の、金融屋による、金融屋のための危機にどうやって対抗していくべきなのか、真剣に考えなきゃならん時期にきてると思うね。 |
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201107251522 |
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