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キャラメルの溝作戦進行中…不況な業界に押し寄せる物価高騰の危機!

いま、生活必需品を中心に、いろいろなものが値上げになっているのはご存知のとおり。
これについて詳しいことは何度も書いているので、今回は出版業界に絡む事情をちょこっとだけ。

実は、最近、紙の値段が急に上がったのだ。
各社が一斉に値上げをかましたのである。
カルテルとはいわないが、実質、似たようなものだ。

出版業界の人間としては「勘弁してくれ!」ってのが正直なところなのだけど、あちらの業界事情を考えるとそうも言えない。
理由はふたつある。
ひとつはわかり切ったことだが、この原油高をひっかぶっているということだ。
で、もうひとつだが、紙業界はダンピング合戦が続いていたこともあり、慢性的に赤字体質なのだ。
だから、この原材料高に合わせて引き上げをかまそうって紙業者の事情もよくわかる。

実のところ、出版業界の周辺では、そんな酷い話がかなりある。
印刷屋や製本屋がバタバタ潰れているのも、出版社が無茶なコストダウンを押しつけてきたからだ。
そして、その出版社が厳しいのも同じだ。
意外と知られていないが、出版社は幅広いジャンルを扱っている総合出版社ほど大変なことになっている。

いま、年間で8万点もの本が流通している。
その膨大な数字を考えればわかるように、誰の目にも触れないような本が山ほどある。
この数字、実はアメリカとほとんど変わらない。
人口3倍に加えて、ローカル出版社の多いアメリカと変わらぬ点数が発行されているというのだから、日本の出版業界は異常としか思えない。

確かに、日本人は世界的に見ても読書熱の高い民族だ。
ひとりあたり、年間18冊の本を読むという統計が出ている。
ちなみに、アメリカは半分以下だ。
ただ、それにしても、8万点が多すぎるのは考えるまでもないだろう。

どうしてそんなことが起こるかと言えば、取次と委託販売制度という世界でも珍しいシステムである。
取次はいわゆる問屋機能であり、日販やトーハン、アマゾンと組んでいる大阪屋といった会社は有名だ。
これらの会社によって、日本全国の書店やコンビニ、キオスクなどに流通されるシステムになっている(一応、直接納入もあるが、あくまで一部だ)。
そして、これらが売れ残った場合、一定の条件で返品することが可能になっている(岩波書店やアスキーのように、かつて買い切り制で流通させていたケースもあるにはあった)。
単行本の場合、半年の委託期間が定められる場合が多いが、それ以降でもたいてい戻される(詳しいことは割愛)。

これには出版社にとっても利点があった。
通常の商品のように買い取りだと、書店側はリスクを考えて売れ筋以外を仕入れようとはしないが、返本が可能なことで、とりあえず本を売るチャンスが生まれる。
このシステムが出版業界の拡大に大きく貢献した。

しかし、いまとなっては、これが各社のクビを締めているのもまた事実だ。

まず、本屋の棚の取り合いが始まった。
本屋の、しかも一番目につく一画を独占する…それが本が売れる秘訣であるからだ。
このためには、安定的に多点数の本を発行する必要がある。
こうして、本屋は大手出版社の本が多くを占めるようになり、零細出版社の本ははじに追いやられていく。
とくに、これは売れそうもないという本に関しては、ストック棚に放り込んだままにしたり、着いたとたんに返送されたりすることも日常的に行われている(書店を責める気はまったくない、現実的にそうするよりないし…)。

こうして本の数が増えてくると、当然のように質は落ちていくし、返本も増えていく。
無理のできない零細出版社なら、部数を絞って細々とやればいいことだが、大手の場合には上記の事情もあるので点数を減らすわけにもいかない。
返本率はどんどん高まっていく。
そして、気づけば赤字になるようなレベルにまで落ち込んだのだ。

ただ、大手の場合、この苦難を乗り越えることが可能になっている。
通常、取次会社との取引条件は、本を出してから数カ月後に発行数から返本数を引いた金額を受け取れる(ただし、一部保留がある場合もある)というものだが、大手の場合、納入とほぼ同時に発行数全体の入金を受けることができる。
返本が発生した場合は、その入金と相殺も可能だ。
これがどういうことかと言えば「売れる売れないに関わらず、本を出し続けていれば、自転車を漕ぎ続けられる」ということなのだ。

これでハッキリしたはずだ。
クソ本だろうがダメ雑誌だろうが、出版社は数を出し続けなくては生き残れない。
だから、出版不況だろうと、本の点数は増え続けていくのである。
そうして、ますますゴミが増えていくのだ。

だから、あらゆるジャンルを扱っている大手にいけばいくほど危機的な状況なのである。
もしも自転車を停めるなり、取次会社が条件を変えたりしたら、大手出版社は丸ごと倒産するやもしれぬのだ(ただし、講談社のバックにいる野間財団はどえらい金を持ってて、無収入で3000人の従業員を100年から養えるというし、そもそも取次自体の大株主が大手出版社で占めているから、そんな展開になるとは思えないけれど)。

こんなご時世に紙価格の高騰は恐ろしく痛い。
かといって、これ以上、周囲の業者をいじめようにもいじめられないほどにダンピングが進んでいる。
編集者の給料を減らし、ライターの原稿を買いたたき、マンガ家やイラストレーターを小遣い銭でこき使い、デザイナーをフォント代にもならない価格で働かせ、カメラマンのギャラをバイト並みにしようにも、すでにそれに近いことになっている。
かといって、安ギャラ人間を使っても質が落ちるばかりだし、あっという間に淘汰されるだろう。

となれば、方法はただひとつ、値上げしかないのだ。

単行本はおそらくこれから値上げの方向に行くだろう。
だが、雑誌に関してはそうはいかない。
むしろ、なんとか値段を下げて対応している雑誌がほとんどなのだ(すでに付加価値をつけて売るという考えはなくなったと言える)。
下世話な話をすれば、最近のエロ本のほとんどはDVDをつけてて、いったいどっちが本物の商品なのかわからなくなっているではないか。
そうまでしなけりゃ売れないし、そうまでしても売れないのだ。

こんな八方ふさがりの状況で、どんな解決法があるのか?
それについて知り合いの編集者に聞いてみたところ、非常に驚くべき話を聞いたのである。

ある雑誌では、ページ減で対応しようと検討を進めているそうだ。
もちろん、価格は据え置きかほとんど変わらないかだろう。
量で値段が決まるものではないので、こんな言い方は不謹慎だが、実質的な値上げである。

言ってみれば、材料費高騰のときに溝が深くなるキャラメルのようなものだ(その分、量が減る)。
最近では、ポッキーが2本分減量なんて話もあったっけ。

そして、これはあくまでおいらの予想だが、紙の種類はもう少し厚いものになるのではないだろうか。
雑誌にしろ、単行本にしろ、使用されている紙にはさまざまな種類がある。
コート紙のようなものから、わら半紙のようなものまで。
そして、それぞれに厚みも何種類かあるのだ(一般に斤量で表わされる)。
で、この原料高でさほど変わらなくなったという話だが、基本的に斤量の大きい(分厚い)紙のほうが安価になっている。
ついでにいえば、束が太くなってボリューム感を出すこともできるわけだ(逆に薄い紙は、ページの多い本でも薄く仕上げることができて便利である。こういう仕上がりを考えるのも編集者の楽しみのひとつなのだ)。

これ、チェックしてみると意外に面白いポイントである。

ちょっと寂しい話ではあるが、その分、内容で勝負するよりなかろう。
ページが減った分、制作経費が安上がりになるわけだし、取材記事やイラストなどを充実させることもできるだろう。

ただ、あたくしのように(現在では)ライターとしてしか雑誌に関わっていない人間にはけっこうつらい。
ページが減るということは「遊び」のページを作れなくなる(企画が通らなくなる)ということでもある。
遊びというと聞こえが悪いかもしれないが、要するにチャレンジができないということだ。
昔から、雑誌には「無駄」とも思えるコーナーがいろいろあった。
そこから生まれたカルチャーが一世風靡したことも多かった。
これから先は、なかなか厳しくなるだろう。

もっとも、こういう現象はいまに始まった話じゃない。
かつて編集長をしていたとある雑誌で、ある有名マンガ家の連載をやっていたことがあったのだが、営業の意向でたった3回で休止に追い込まれたことがあった(抵抗はしてみたが無駄だった)。
それからしばらくして、べつの雑誌で、同じマンガ家がやっていた同じような企画がブレイクしたのだ。
おいらはもちろんのこと、そのページを担当していた編集者も一緒に悔しがったものだ。
いけるという自信があってやってたことだし、もう少しがまんしてもよかったではないかと(決して売り上げも悪くなかったわけだし)。
まあ、結局は押し通せなかった自分のせいであることは間違いない。
言い訳するつもりはない。

それくらいいまの出版業界には余裕がないのだ。
この閉塞感をぶち壊す企画を思い切りやってみたいのだが、それがそもそも難しくなっているというのは、本当に嘆かわしい話である。

というわけで、おいらのボツ企画がますます増えるだろうなと、正直、心配だ(苦笑)。
いい歳して、旧体質の出版人間気取っててもしょうがないと思うのだけど、こればかりは変えようがないのである。

別窓 | 哀愁だらけの出版業界 | コメント:0 | トラックバック:0
200807111204
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