シティバンクなんかが金集めのために出している「サムライ債」が売れているそうなので、その手の話を少しだけ。
いまのこのご時世、株にしても為替にしても、債権、オプション、投資信託、ワラントほかいずれの金融商品であっても、手を出すべきではない(少なくとも日本に住んでいる日本人は)。
いま、金融という虚業がまるごとぶっ壊れようとしている時期だからだ。
FXで円高、オプションやワラントでダウなどの下落に賭けていれば、かなりの可能性で勝てるとは思う。
ただ、連中はいかなる揺さぶりをもいとわない。
たとえば、バンク・オブ・アメリカに買われることになりそうなメリルリンチの話も、数時間後にはご破算というニュースに変わり、またもや数時間後にはやっぱり買うなんて話に変わるかもしれない。
それで相場は上下に激しく動くことになる。
その切り替えの正確な時間を知っているのは、情報を操っている連中だけだ。
それを覚悟した上で、捨ててもいい余剰資金でギャンブルするならいいとは思う。
ついでに言えば、金融崩壊の影響をひっかぶって、業者が飛ぶ可能性もある。
たとえ儲けたとしてもだ。
それならアメリカ以外のマーケットでやればいいのか?
その答えはノーだ。
アメリカが沈めば、その数倍の規模で危険なのがヨーロッパだ。
中国やインド、ロシア、ブラジルも同様。
中国なんぞはヘタすりゃ国家的危機に瀕する可能性もある。
じゃあ、日本ならいいのか?
それもまたノーだ。
アメリカがヤバいことになれば、日本への影響も深刻だ。
中国や韓国が危険なことになれば、日本のリスクもまた高まることになる。
要するに、いまは日本円で現金のまま持っているのが一番安全だということだ。
外貨で運用している人は、できるだけ日本円にかえたほうがいいかもしれないが、それにしてもちょっと時期が遅いかもしれない。
ちなみにおいらはユーロと香港ドルで持っていた現金を、ひと月くらい前に全部日本円に変えた(いまのところ大正解。たいした金額ではないが…)。
あくまでも資産保全のためで、儲けを狙ったものではない。
こんな時期だからこそチャンスだと思っている人は、確実に騙されている。
それでもどうしてもやるというのなら、少なくとも自分で決めるべきだ。
証券会社や銀行の勧めるものはすべて拒否すべきとおいらは思う。
さて、話は戻って「サムライ債」である。
これ、海外の企業が金を集めるために日本円建てで募集している債権だ。
シティバンクがとくに力を入れているようである。
詳しいことは知らないが、日本の長期金利+2%くらいで集めているようで、条件的にはいいように見えなくもない。
だが、これ、間違いなくワナのようなものなので、手を出さないほうがいい。
シティバンクも含めて、この手の連中は資金不足で困っている。
中国やアラブのファンドから金を集めているものの、それでも不足しているから日本でやっている。
ちなみに、そっちはドル建てであるが、8%以上のリスクプレミアムつき利率でなんとか借りられているというところだ(サブプライムで住宅資金を借りていた人以上の金利ですぜ…)。
これ、どういうことかと言えば、それだけリスクがあるということの裏返しなのだ。
一時的に資金を集めたところで、いまの恐慌に向かう動きのなかで潰れる可能性も大きい。
ちょっと条件がいいからといって、わざわざ自分の大事な金を紙くず債権に変える必要はあるまい。
日経新聞やら東洋経済やら週刊ダイヤモンドがなんと言おうと、どれだけ営業マンが勧めようと、これらの商品に手を出すのは愚の骨頂だと言っておこう。
前から何度も言っているが、格づけにも騙されないことだ。
これだけ危機に瀕しているアメリカの国債や住宅公社、保険会社がAAAで、低金利安定の(つまりそれだけ信用がある)日本国債をAA(先進国で最低ランク)にするようなインチキを信じてはいけない。
アメリカにしても日本にしても、誰かに損を押しつけて自分だけ逃げようとしているヤツらがいっぱいいる。
とにかく、情勢が見えるまで、現時点では最強の安定通貨である日本円の現金で持っているのがいいとおいらは思う。