今日は日曜日ということで、ちょいと買い物しようと、珍しく街に出てみたおいら。
そんな大げさに言うほど僻地に住んでるわけじゃないどころか、深センのど真ん中にいるのだが、ここしばらく家にこもって仕事していたので、本当に久しぶりなのだ。
たまにはちょっと洋風のものが食いたいと思い、駅前のケンタッキーフライドチキンへ。
適当なチキンとバーガーとコーラのセットで25.5元、だいたい400円。
日本よりちょっと安い程度だ。
友達に聞いたところ、中国人の味覚にはマクドナルドよりもケンタッキーが合うそうだ。
確かに日本よりもケンタッキーの比率が高いかもしれない(絶対数ではかなわないだろうけど)。
本土側でも香港側でもそうだ。
それに、マクドナルドのほうが外国人客の割合が多いように思える。
あくまでも個人的感想で、データがあるわけじゃないけどね。
ただ、この25.5元という金額、決して安くない。
まともな大学教育を受けていて、深セン特区内の企業で働いている若手社員の給料が月3000元程度(約48000円)。
家賃や光熱費など毎月飛んでいく支出でその半分以上が消えていくと考えると、彼らに残された生活費は1日50元もないのだ(もっとも、中国人労働者の多くはルームシェア等でコストを下げているらしいが)。
さらに下を見ればキリがない。
深センの最低報酬が月700元あまり(もしかすると、上がってるかもしれない。突然変わるので…)であることを考えると、ケンタッキーの1食は1日の報酬にも匹敵する。
そして、正規雇用者のなかで最大数をしめているのが、この最低報酬に甘んじている層の人間なのだ(それ以上の非正規雇用者がいることについてはとりあえず置いておく)。
東京であれば、グッドウィルとかフルキャストに代表される人材派遣中間搾取ビジネスに乗せられた人であっても、1日5000円程度の収入はある。
月の半分しか仕事にありつけなかったとしても、1日2500円だ。
ファーストフードのセットが500円と仮定すると、日給の5分の1というわけだ。
つまり、この計算方法で考えると、東京と深センのケンタッキーの価値には、5倍もの格差があることになる。
東京を基準にして言うなら、ひとりあたり2500円の食事に行くのと同じことだ。
あたくしは根が貧乏なので、ここ数年、飲みに行くのを除いて、2500円なんて使ったことがない。
要するに、中国の一般大衆にとっては、日本の貧乏学生がたまり場にしているようなファーストフードですら、めったに食えないようなものだということだ。
しかも、このケンタッキーがあるCOCO PARKというショッピングモールには、それ以上に高いレストランがいやというほど入っている。
日本ならショッピングモールで一般庶民が食事もできないなんてことはまずありえない。
これが中国の現実なのだ。
この格差は凄まじいものがある。
日本の格差社会なんて、まだかわいいものだ。
だが、日本が中国と同じにならないよう、徹底的に策を講じる必要があると思うのだ。
おいら自身は、格差はべつに悪いものではないと思っている。
実力のある者が優遇され、地位と富を享受できるのは当たり前のことだ。
これまでの日本は、これらの意識があまりにも希薄だったがゆえに、スーパーエリートが育たず、国際社会のなかでいいようにやられてきた歴史がある。
とくに政治であり外交だ。
名門大学出身のエリートたちがこの国を支えているという状況も否定するつもりはない。
ただ、いい素材を持った人間をそのまま上の社会に連れて行ってるだけの現状には不満だ。
血とか学閥を超えた、エリート中のエリートを選抜する果敢な競争が必要だし、そうして選ばれた人間には、恐ろしく過酷な仕事と平行して、誰にも手に入らないような特権と生活を与えるべきだ。
そうでもしなければ、この日本という国は近く消えてなくなるかもしれない。
そういった意味で、あたくしは格差を肯定するのである。
ただ、絶対に忘れてはならないポイントがふたつある。
ひとつは国民全員の最低限度の生活基盤を保証すること。
政府が金を出してやればいいということではなく、いまの人材派遣システムのような国民奴隷制度の完全撤廃はもちろんのこと、外国人労働者受け入れの緩和のような売国法案をたたき潰すことだ。
そして、もうひとつが重要なのだが、教育を受ける権利に一切の格差を設けてはならないということだ。
格差社会のもっとも危険な部分は、上下の逆転がほぼ不可能であり、また、上にいる人間が下の人間の成り上がりを許さないシステムを作り上げてしまうことである。
その最大の部分が教育の格差だろう。
公立学校・大学に対しいやというほど金をかけ、優秀な人材や設備を投入していくべきだ。
そして、能力がありながらも経済的に就学が不可能な人間には、その生活も含めて徹底的に援助していく必要があるだろう(ただし、競争に勝ち残れなければ、即打ち切りという厳しさも残しておかなくてはならない)。
またもや、話がそれまくってしまった。
要するに、中国において、ファーストフードはそこそこの高級品であるということだ。
ただ、一般的な中国の食事については、その半分もあれば十分である。
中国はとにかく食べるところが多く、競争が過酷なのだ。
普通に昼飯を食いに行く程度なら、10~15元程度で、メインディッシュに飲み物がついてくる店が山とある。
たいてい、下午餐(ランチ)メニューがあり、バラエティも豊富だ。
その内容、どこの店に行っても、日本のファミリーレストランより幅が広い。
麺、お粥、ワンタン、謎の骨肉飯、日式カレー、サンドイッチ、ステーキ、すしセットなどが一緒に載っているランチメニューなど、まず日本ではお目にかかれない。
日本の場合、普通はその店ならではの味というものがあるだろうが、中国はバラエティが勝負である。
メインのメニューなど、何百種類あるのだと思うようなものまである。
もっとも、麺の具が違うとかその程度ではあるが、文化の違いというものをもっとも感じるのはこの部分かもしれない(日本人の感覚なら、基本商品+トッピングとするだろうね)。
また、何度も部屋のドアに出前のメニューを挟んでいく料理屋がいくつかある。
中国語がしゃべれないので一度も頼んだことはないのだが、それらの一品料理の価格は5元~8元程度。
この店では一品から出前してくれるそうである。
さらに例をあげるなら、近所では、自転車で道ばたに立っている即席屋台のようなものが多数ある。
なぜか台湾の最悪な名物「臭豆腐」を売っているヤツが最近多い。
1杯2元(約32円)だそうな。
それ以外にも、謎の点心を売っている連中とか、フルーツをトラックで販売しているのとか、食べ物だけでもいやというほど物売りがいる。
基本的にチャレンジャーなおいらは、そのひとつである肉まん屋の常連となってしまった。
結構でかくてひとつ3元もするが、これがたまらなくうまいのだ。
おそらく、段ボールは使われてないと思う(笑)。
残念なことに、遭遇するのは週に2回程度だが、たまにはそういう当たりもある(べつの意味の当たりも山ほどあるらしいが、とりあえず、いまのところは出会っていない)。
そして、そのどれもが、ケンタッキーとは比べものにならない安さであり、これこそが本当の中国だと思うわけである。
そんなあたくしの日常の食生活はと言えば、実に質素なものだ。
1元=約16円でだいたいのところを把握してくださいな。
米は5キロで18元のブランドもよくわからないジャポニカ米(香港を含めた広東省近辺はインディカ米メインだけど、日本人としてこれだけは譲れない)。
よく食べるおかずに、冷凍の水餃子があるが、これは近所のスーパーの一番安いヤツで20個入り7.5元(らくらく3食分)。
冷凍肉まん700グラム(15個だったかな?)で7元くらい。
トマト3個、だいたい500グラムで4.5元程度。
ピーマン(やたらデカイ)は3個で3元もしない。
肉類は日系のジャスコで買うことが多いが、豚肉は300グラムで8元、牛肉でも15元くらい。
シャケの切り身も2食分で15元くらいだ(ばっさり輪切りにした状態で売っているので、自分でまっぷたつに割っている)。
いんちきシーチキン缶13.8元、味はそこそこ。
ステーキ肉も200グラム20元程度でかなりうまいのが買える(一度しかやったことない贅沢だけど)。
ただ、日本の食品はそれなりに値が張るので注意。
どうしてもないとダメな納豆は3個パックで20.8元。
乾麺のソバはわずか2食分で14.8元(一番高いのは100元近くする)。
冷凍うどん3玉35.8元。
で、大事なつゆ(桃屋のヤツね)は1瓶32.8元もするのだ。
酒類は青色の金威ビールを愛飲していて、350ミリリットル1缶2.7元。
ちょっと贅沢の青島は3.2元。
たまに飲みたくなるキリン一番絞りはジャスコで4元(ちなみにアサヒスーパードライは嫌いだから飲まないが4.5元)。
ごくごくたまに飲むカールスバーグは6元。
そのほかの外国のビールは安くて5元、高いものでも20元くらいだ。
酒税制度が違うため、外国製ビールも結構安いのである。
そのほか、水は1リットル1.8元の景田というヤツを使い、たまに買う100%のオレンジジュースは1リットル6.5元。
2.5リットルも入ってる恐ろしいペプシコーラは5.5元だった。
大好きなカゴメのトマトジュースはジャスコで売っていたが、確か1リットルので20元くらいしたので、いまのところ手を出していない。
インスタントコーヒー100グラム入りで23.8元、結構高い。
ありがたいのはタバコが安いことだ。
マイルドセブンに手を出せば日本と変わらない値段だが、最近、日本のセブンイレブンでもちょこっと売っていた中南海10ミリなら4.5元だ。
もっと安いのもあるが、おいらはすっかりこれを愛用している。
とかく、中国での生活は本当に安い。
ケンタッキーがよくやっていけるものだと不思議に思うほどだ。
しかし、これに慣れてしまったいま、本当に日本に戻れるのか不安になるけどね…。